『昔の記事から8』
 2016年12月10日の記事です。  またか……。即座に誰もが思った。  都内某所署で連絡を受けた署員達は溜め息を漏らした。  ニュースで散々話題になっている、スマートフォンアプリのゲーム『ポケモンGo』を車の運転中にプレイしていて事故を起こしたという報道はもう珍しいものではない。 「なんでそんなに車に乗ってゲームしてる必要があるんだ? ゲームなんか家でやれば良いだろ」  ゲームの内容も報道はされているが、年配の署員である柏木はいまいちゲームの内容がわからない。ポケモンという名前は聞いたことがあるが、それがピカチュウなのかジバニャンなのかもわからないほどに。 「街中でモンスターが出てきたり、アイテムが取れる場所があったりするんですよ。だから家にいても何も出来ないゲームなんですよ」  若い署員の神田学がぼやくように言うと、ほぅ……と柏木は声を漏らした。 「そもそも問題はそこじゃないんですけどね」    女性署員の岸田が言うと、柏木何が問題なのかと尋ねたそうに目をやった。 「まずスマホ弄りながら運転してることが問題なんですよ。別にポケモンだけが悪いわけじゃないんです! なのにポケモンポケモンて……車運転しながら他のゲームは良いのかって話ですよ!」  怒気の籠った声に、二人は顔を見合わせ口を閉ざした。思い出したのだ。岸田が先月運転中のスマホを見ていたということで罰則を受けた上に、自分も警官であることから説教までされたのだった。何を見ていたかというと、ゲームではなく、LINEの通知を確認していただけだった。  だからポケモンだけではなく、他のゲームなりLINEなりでスマホを見ている人も問題視されなければ納得出来ないのだ。 「おし! 神田行くぞ!」    景気の良い声を挙げたのは、葵青児だった。交通課から刑事課に異動になったきっかけともなった、あの凄惨な事件以来、仕事には滅法真面目に取り組むようになった。  半面、コンビを組まされている神田はたまった物じゃない。 「交通事故ですよ? 交通課の仕事じゃないんですか?」 「あのなぁ、オレらはハンターなんだよ。モンスター捕まえる為に人殺してんじゃどっちがモンスターかわかんねぇ。オレらはそのモンスターを捕まえるハンター。どいつもこいつもスマホ見てボケっとしやがって」 「まさに、ボケっとモンスター……なんつって……ね」  柏木の一言に凍り付いた場から逃げるように、青児も神田も、そして、岸田までもがコーヒーを飲みに部屋を後にした。  これは46573の対価の続きというか、なんとなく描いたその後の話ですね。  あと書きたかったのは内容の通りです。 2018/02/11 NEXT→10ページ目